〜〜〜〜〜♪

「はい。」

『よっ御柳、元気か?』

「おう、猿野。何だよ用事か?」

『ああ、あのさ…。』


教えてダーリン♪



「〜♪」


「「「「「「………。」」」」」」

今日の御柳はおかしい。とその日、華武高校の野球部全部員は同じ事を考えていた。

とにかく、とことん機嫌がいい。
嫌いなランニングも嬉々としてやっている。

一体何があったのか。

部員達には想像も付かなかった。


…しかし、その原因は部活の終了と共に判明することとなる。



####

部活終了後、御柳にとっては約束どおりの事が起こった。


十二支高校1年、猿野天国。
埼玉のアイドル。野球部員達の憧れならぬ妄想の的。


彼は今日、御柳と勉強をする約束をしていたのだ。


華武高校野球部の御柳と十二支高校野球部である天国は、
県対抗総力戦以来、すっかり仲良くなっていたのだ。

大会の時一緒に行動することが多かったのは知っていたが、
他の部員達が知らない間に、その関係は良好化の一途をたどってたようだ。


「うーす、御柳!待ったか?」

「ああ、まあお前にしちゃ早いほうだがな。」

憎まれ口は叩いているが、御柳の顔はにこにこというかでれでれ状態。

御柳が天国の事をどう思っているかは、まさしく一目瞭然であった。



…肝心の天国は分かっていなかったが。




さて、そんな二人を最初呆然としていた他の華武高校の面々は、
徐々に正気を取り戻すと。


早速二人の間に付け入る隙を探した。


早々に自分たちのアイドルを御柳一人に任せるわけにはいかないからだ。



そんな敵意たっぷりの視線を向け始めた時のこと。



「なあ、お前古典っていけるか?」

ぴく。


「オレ数学は得意なんだけどな、古典とかちょっと…。」

どうやら天国は古典の協力者を求めている。


しかし、確か御柳は。

「ああ、オレも古典は…。」




「じゃあオレが教えるング!!」


突然二人の会話に滑り込んできたのは、二年の久ボウ白春だった。

それに御柳は当然のごとく反論する。


「ちょっと、何割り込んで来てるんスか?」

「オレは古典がおめえより得意だべ。
 猿野が教えて欲しいなら教えてやるングよ?」


その言葉に、天国は素直に反応した。
「え、いいんですか?」


そして御柳は焦った。
「おい、猿…。「待て。古典ならオレも得意だ。」


再度、御柳の話に割りいったのは。


「屑桐さん?!」
「屑さん!どっから湧いたング?」
「白春…言いすぎ気…。ヾ(-_-;) 」

そう、元華武高校野球部キャプテンの3年、屑桐無涯である。
どうやらこの日は他の3年も一緒に部活の様子を見に来ていたようだ。

それが思わぬ幸運(天国)に出会い、内心かなり喜んでいたところだ。


この上でめぐり合えたチャンスに、手を出さないわけにはいかなかったのだろう。


勿論御柳にとってはやっかいな邪魔者が増えたという以外になにもなかったが…。


「だから、猿野はオレと…。」

「わしも国語は得意じゃ…。「「貴様(アンタ)は女とたわむれてろ!!」」
これまた割り込んできた桜花を一蹴すると、屑桐と御柳は、今度は一対一で向かい合った。


「いくら屑桐さんとはいえ、オレと猿野の大事な時間を邪魔するのは許せませんよ?」
「ほう、猿野が大事な時間と思っているとは限らんぞ?」
「は!負け惜しみ丸出しっすね!猿野の電話番号もメルアドも住所も知らないくせに?」
「お前のように無理矢理聞きだすような恥知らずなマネはしないだけだ。」



と、毒舌合戦が開始された。

朱牡丹や久ボウ、他のメンバーもその舌戦のすさまじさに、うっかり見入ってしまっていた。





さて、そんな状況の中、争いの原因である猿野は、というと。
その自覚もなく状況を眺めていた。



「おーい、いつ行くんだ?」


そこに、一人の少年が声をかけた。




###


「猿野、よければオレが教えよっか。」

「あ、お前2軍の…えっと…。」

「墨蓮だよ、同じ1年。よろしくね。」

「そうなんか?って、教えてくれんの?いいのか?」

「うん、古典は得意な方だし。」

「そっか!じゃあ頼むわ!」

「OK。じゃあ行こうか。ミヤは忙しそうだからあとでメール送っとけばいいよ。」

「約束したんだけど…まああれじゃしゃあねえよな。」

「そうそう。」

「おし、じゃ行こうぜ墨連!」

「うん。」


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ちなみに華武高校のメンバーが、原因がいないのに気づくのはこれから2時間後の話だった。




おまけ


「…で、お前スミレと勉強してたのか…。」

「ああ、あいつ教えんのうまいんだな〜すっげえ分かりやすくてさ。」

「…ふ〜ん…。」

「また教えてくれって頼んどいてくれねえ?」

「…。」

「御柳?」


(ぜってぇ言わねえ………(泣))




御柳芭唐、15歳。

敵にまどわされ目標を見失った ある秋の一日の出来事だった。



                                             end


超絶頭の悪いタイトルでした…。

神楽様、大変お待たせして申し訳ありませんでした!

今回はだいぶ前に話が決まってたんですが…やっと形に出来てほっとしてます。
それにしてもうちの御柳くんはどうしてこうヘタレなのか…。

もっとカッコいいミヤが書けるよう頑張ります!!


ではでは。
神楽様、素敵なリクエスト本当にありがとうございました。
こんな奴ですが、気が向けばまたこちらにいらしてくださいませ。
いつでもお待ちしています!


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